岡部グループで扱っている実験モデル動物を紹介します。この他、通常の医学研究で用いられるマウスやラットも扱っています。

ニワトリ Gallus gallus

ニワトリは胚発生が子宮内 in utero ではなく卵内 in ovo で起こることから、胚発生の様々な段階を容易に調べることが可能で、古くから脊椎動物の発生研究に用いられてきました。細胞や組織の生体染色や移植、ウズラとのキメラを作成したり、電気穿孔法によって胚に遺伝子導入が可能なため、マウスやラットではできない胚操作が可能です。卵は養鶏業者から手に入れ孵卵器の中で発生させます。ですから動物舎で親を飼育する必要はありません。またゲノム情報もすでにインターネットで公開されています。 

ゼブラフィッシュ Danio rerio

Danio rerio (ゼブラフィッシュ)は、遺伝学解析が可能な最も単純なモデル実験脊椎動物として世界中で研究されています。ゲノム情報や胚操作技術が蓄積されつつあり、基礎生物学研究のみならずヒト疾患モデル動物として重要な役割を果たしています。突然変異系統やトランスジェニック系統の数も急速に増加しており、ゲノム情報もインターネットで公開されています 。

ポリプテルス Polypterus senegalus

ポリプテルスは古代魚として知られるアフリカの淡水魚です。最も原始的な条鰭類であり、四肢動物の進化を考える上できわめて重要な脊椎動物です。上記のゼブラフィッシュやメダカなど実験発生学研究に広く用いられている小型真骨魚類は、その祖先が全ゲノム倍化を起こしており、我々四肢動物との比較ゲノム解析が困難という問題点があります。それに対してポリプテルスは、この全ゲノム倍化以前に分岐しているため、我々四肢動物との比較ゲノム解析が簡単に行えるという特徴があります。我々はこの魚から上陸直前の四肢動物の祖先のことを知ろうとしています。そのために研究室内で繁殖させて分子発生学の実験系を構築し、さらに国立遺伝学研究所と協力してこの魚の全ゲノム塩基配列の解読を行っています。